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2010.09.13 Mon


転載自由と聞いてw


紫陽花を“しょうか”と読んでしまうのは
我が子と我が妹への愛情だよ^p^←



『だから、風邪引きますって。』
written by.楢崎硝花

机と周辺の床いっぱいに写真集や雑誌を広げたまま、最近コンスタントに仕事をいただけているらしい作家さんは、自分の体分のスペースを空けた床に転がって、眠りに落ちていた。
頭上に携帯があることから、目覚ましは一応かけているらしい。
一体、いつから眠っているのだろう。
冷房はどこかの店舗並みに効きすぎていて、しっかりと毛布をかぶっているが、地球環境的にも、作家さんの体調的にも悪そうだ。
時折、声が嗄れているのも、こういうわけらしい。
「せんぱーい、風邪引きませんか、それ」
小声で言うのは、これだけ眠気に弱いくせに、寝起きがこっちからすれば異常に良いからだ。
玄関の開く音だけで起きてこられた日には、申し訳なさで胸がいっぱいになった。
「せんぱい、今日、サナエさん家にご飯行くんでしょ。そろそろ起きないと駄目じゃないんですか?」
ていうか、風邪引きますよ。
という言葉は外に含めて、肩を叩く。
作家さんはたったそれだけで反応を見せ、静かに上体を起こした。
「おはようございます」
「……お、はよ」
「サナエさん家、行くんでしょ。準備しないと不味くないですか?」
「め……ざ、まし」
そう言った瞬間に、携帯が鳴った。
ぐーとか奇声を発して、目覚ましを止める。
「サナエさん家行くんでしょ」
こくん。
「目覚ましも鳴りましたし」
こくん。
「そろそろ準備してください」
こくこく。
のそのそと稼働しだしたので、自分はスウェットに着替える。
ソファの背を倒して、作家さんの使っていた毛布をかぶった。
今日は悲しいかな、夜勤だ。
「いってきます」
頬を引っ張られる。
起こされた仕返しらしい。
「いってらです」
Tシャツにジーンズというラフな格好で、作家さんが家を出ていった。
きっとまた、夜勤から帰ってきたら、床に転がって眠っているのだろう。
うとうととした思考はすぐに薄れ、睡魔が感覚に蓋をした。


設定は長女の「一杯の珈琲のためのはなし」から。
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